


吉祥寺の賑やかな通りを少し入った先、螺旋階段を上がった3階にある花屋「hibi」。まるで部屋の一室のような、アトリエのような雰囲気を持った空間。そこで黙々と手を動かし次々とブーケやアレンジメントを作り上げていくのは店主の久野恭子さん。植物を手に取り、さっと無造作に束ねているように見えて出来上がったものは葉も花も生き生きとし、単体では見せなかった別の魅力が与えられている。「感覚で作っています。考えていたらうまくいかない」そう語ってくれが、受け取る側に心地よさと新鮮さを与えてくれるのはそのためだろうか。恐らく本人も完成形がどうなるのか分からないまま手を動かしながら収まるべき形を探して作っているのだろう。撮影に行った時はちょうどクリスマス前。リースやスワッグが次から次へと仕上がっていった。手を止めることなく、感覚を研ぎ澄ましながらまだ見ぬ完成形を目指して黙々と手を動かす。机の上に生まれたばかりと言いたくなるようなフレッシュさを湛えたリースが並べられていく。柔らかな光の差し込む机の上、新たな形を与えられた植物たちが初々しい存在感を放ちながら次の人の手に渡るのを静かに待っていた。















Profile
久野恭子 / フローリスト
自分のための花だったり、花を選んでる時間もささやかな楽しみであって欲しいと2012年に吉祥寺にて花屋『hibi』をオープン。
訪れた人の価値観に触れられる植物・作品を飾ることを意識し、セレクトしている。